受付時間
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アイソトープ治療はRI治療や核医学治療とも呼ばれていて、放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)を含む薬を用いて病気の治療を行います。この放射性の薬剤が内服・注射などにより体内に入ると、特定の組織(甲状腺・腫瘍・がんなど)に集まります。
当診療所では、放射性(131I)ヨウ素の内服による、バセドウ病アイソトープ治療・甲状腺分化がん全摘術後の外来アブレーション治療を主に行なっています。
放射性薬剤として放射性ヨウ素(131I)カプセルを使用します。
甲状腺はヨウ素を原料にしてホルモンを作りますが、放射性ヨウ素も普通のヨウ素と同様に甲状腺細胞に取り込む性質があります。さらにバセドウ病は通常よりも多く細胞内に取り込むため、この性質を利用して治療を行います。放射性ヨウ素カプセルを内服し、甲状腺に取り込まれた放射性ヨウ素から出る放射線によって甲状腺の細胞を破壊して、過剰に分泌される甲状腺ホルモンの量を減らします。
治療前の準備として、放射性ヨウ素を使用する治療では、適切な治療効果が得られるように、事前にヨウ素の制限や指定薬の制限をしていただく必要があります。しかし、治療は放射性ヨウ素カプセルを服用するだけですので、手術のような傷や痛みの心配はありません。手術よりも身体への負担が少なく効果が得られる安全な治療法です。明確に治療効果が現れるのは数カ月先です。また、ホルモン値が安定するには個人差がありますが、おおむね6ヶ月~1年です。ホルモン値が安定しなかった場合の再治療の目安は1年~数年です。
当診療所では、甲状腺の大きさによって服用する放射性ヨウ素の量を調整していますが、治療効果には個人差があります。場合により、甲状腺の細胞が予想よりも減少し、その結果甲状腺機能低下症になる場合があります。
しかしながら、この症状は甲状腺機能亢進の状態よりも心身への負担が少なく、甲状腺ホルモン薬の内服によって正常に維持することが安全でなおかつ容易であるため、アメリカでは最初から甲状腺機能低下症を目指した治療方針をとっています。